一口に「仮想通貨」と言っても投資方法や考え方は幅広く、それぞれに一長一短があります。しかし全てに共通しているのは、「利益を上げる」ということです。まだ仮想通貨が実生活で利用できるシーンは限られており、最終的には法定通貨(日本の場合は日本円)に戻して利益を確定させなければなりません。
この記事では、仮想通貨取引を行う際の期間を長期と短期に分けて、それぞれのメリット・デメリットについて分かりやすくご説明します。
仮想通貨を長期保有する目的
長期保有は、通貨を「がっちりホールド」することから「ガチホ」と言われることもあります。細かな値動きに一喜一憂せず、通貨の成長を期待しながら値が上がるのを待ちます。
長期保有のメリット
通貨の目的や発展に投資できる
仮想通貨は、それぞれが何らかの目的を持って生み出されています。公式サイトでは、「ホワイトペーパー」と呼ばれる計画書が公表されています。ホワイトペーパーを読んでその仮想通貨が目指す未来に共感したなら、その通貨を購入することで応援できます。
応援している通貨が期待通りの成長を遂げると、通貨の値上がりによって大きく資産を増やすことができます。
短期の値動きに神経質にならずに済む
仮想通貨はボラティリティ(価格の変動性)が高い金融商品です。1日で10%以上の値動きを見せることも珍しくありません。短期売買で利益を上げようとすると、こまめなチェックが必要です。しかし長期保有を前提としているなら、目先の動きにとらわれず、値が下がったなら、むしろ買い時ととらえることもできます。
通貨を購入した後は細かな値動きを気にすることなく、じっくりと成長を見守ってください。
手数料などの経費が少なくて済む
取引には取引手数料がかかります。また、売値と買値の差(レバレッジ)があるので、売買の回数が増えるほど取引に関する経費が必要になります。長期保有の場合は取引回数が少なくて済むので、取引手数料やレバレッジの影響を受けにくくなります。
長期保有のデメリット
通貨の開発がストップする恐れがある
仮想通貨は千種類を超えると言われていますが、その全てがホワイトペーパーに書かれている通になるとは限りません。詐欺的なものや、思うように開発が進まないものも多くあります。そしてそれらの通貨は、いずれ無価値になってしまいます。
ホワイトペーパーに書かれた理想を信じて長期保有していると、いつの間にか価値がなくなってしまうという恐れもあります。
投資した資金を回収できない恐れがある
無価値とまではいかなくても、価値が大きく下落したまま回復できなくなることもあります。同じような目的を持つライバルの仮想通貨が存在すれば、両者に競争が起こります。計画が想定通りに進まないと、後発のライバルに追い越されることもあります。
同じような目的を持つライバル通貨の方が優れていると多くの投資家たちから認められてしまうと、値上がりは難しくなります
仮想通貨を短期保有する目的
短期保有は、トレードの期間によっていくつかの呼び方があります。数日~1週間程度で完了する方法を「スイングトレード」、長くても1日以内に完了させる方法を「デイトレード」と言います。また、数秒から長くても数分で完了させ、小さい利益を多く積み重ねる方法を「スキャルピングトレード」と言います。
一度の取引で得られる利益は小さいものの、回数を増やすことで利益を大きくできます。また、損失が発生した時も、すぐに損失を確定させることでできるだけ損失を小さくできます。
短期保有のメリット
結果がすぐに分かる
対象となる仮想通貨を購入してから売却するまでの期間が短いことで、収支の結果が短期間で分かります。損失を出してしまった場合も、早めに売却することで損失の拡大が防げます。一度で得られる利益は限られた金額になりますが、短期間の取引を繰り返すことで、利益を積み上げることができます。
通貨の目的にフォーカスする必要がない
対象となる通貨について、自分が取引する期間の値動きが予測できれば問題ないので、各通貨の特徴や将来性などを細かく分析する必要がありません。ある通貨で大きく値が動きそうな気配を察知できれば、それにうまく乗ることで利益を上げることも可能です。
その通貨にイベントが起こるとき、値は大きく動きやすくなります。新しい取引所への上場、ハードフォークやソフトフォークといった改良などが大きなイベントです。他にも、開発者のSNS上での発言も値動きに影響を与える場合があります。
短期保有のデメリット
細かなチャートのチェックが必要
仮想通貨はボラティリティ(価格の変動性)が高く、短期間で大きく値が動きます。1日で10%以上値が動くことも珍しくありません。そのため、チャートの動きはこまめにチェックし、取引のタイミングを逃さないようにしなければなりません。
思わぬ経費がかかる
取引をするたびに取引手数料が必要です。取引金額に対し、一定の割合が自動的に差し引かれるのが一般的です。また、同じ市場でも売値と買値は異なります。売値と買値の差を「スプレッド」と言いますが、スプレッド分値上がりしなければ、利益が出ません。
これは、仮想通貨取引所bitFlyerの「ビットコイン販売所」の、あるタイミングでの売買価格です。
1BTCの購入には418,860円必要ですが、1BTCを売っても406,329円にしかなりません。差の12,531円がスプレッドで、少なくとも12,531円値上がりしなければ、ここの売買で利益を出すことはできません。
短期売買の場合は、取引回数が増えるほど取引手数料やスプレッドの影響を大きく受け、いつの間にか資産が目減りしてしまうこともあります。
時間に見合う利益が上げられない場合がある
短期売買では値動きに敏感にならなければなりませんが、パソコンの画面に表示されるチャート(値動きが分かるグラフ)とにらめっこしてトレードしても、思ったほど利益が上がらないこともあります。
利益を上げることができても、それがトレードに費やした時間と見合うものか、時々確認してみましょう。もし、時間に見合うだけの利益が上げれてないと思う場合は、取引方法を見直した方が良いかもしれません。
長期保有と短期保有のまとめ
仮想通貨において、長期保有と短期保有のどちらが優れているとか、簡単だとか言うことはできません。各投資家が、自分に合ったスタイルを見つけなければなりません。また、時と場合によって長期と短期の両方を利用する必要性も出てきます。
仮想通貨の取引においては、基本的に何が起きても自己責任の世界とされています。まずは無理のない金額から始めて、いろいろな方法を試してみてください。そうやって少しずつ、自分に合ったスタイルを見つけてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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